
2025.9.17
建設業DX・AI活用シリーズ 第5回~建設業DXの導入ステップと実践ロードマップ~
こんばんは。i-consulting office(アイ・コンサルティング・オフィス)の田中健太郎です。
社長も社員も働くことが楽しいと思える会社づくりのお手伝いをモットーに
中小企業の経営支援を以下の内容を中心に行っています。
- クロスSWOT分析を活用した「積極戦略」の構築支援
- お金のブロックパズルによる「キャッシュフロー経営」のサポート
- 業務のデジタル化支援を通じた「生産性向上」コンサルティング
- DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AIコンサルティング
といろいろ書いてますが、最近はもっぱら
”DX・AIを中心にした研修講師”が主な業務です。
経営に関するお困りごと、従業員育成に興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「わかりやすく、具体的に」を意識して、経営の現場に即したご支援を心がけています。
本日は「建設業向けDX・AI活用シリーズ 第5回~建設業DXの導入ステップと実践ロードマップ~」と言うテーマで書いておきたいと思います。DXをどのように進めていくべきかステップ別に解説しています。きっとお役に立てるかと思います。
はじめに
建設業界では、人手不足・熟練技術者の高齢化・安全管理の強化・工期短縮といった課題が年々深刻化しています。その解決策の一つが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。近年は生成AIやIoT、BIM/CIMなどの技術が急速に進化しており、**「DXをどう導入するか」**が企業の競争力を左右する時代になっています。
本記事では、建設業におけるDX導入のステップを体系的に整理し、実際に取り組む際のロードマップを具体的に解説します。
建設業DX導入の全体像
建設業DXは「部分的なデジタル化」から始まり、「業務全体の最適化」「AIを活用した新しいビジネスモデル創出」へと発展していきます。大きく5つのステップに分けて考えるとわかりやすいです。
ステップ1:現状把握と課題整理
- 自社の業務プロセスを棚卸し
- 「紙やExcelで非効率になっている業務」「人材不足で滞っている業務」を特定
- DX化の優先順位をつける(例:現場の進捗管理、見積作成、労務管理など)
👉 ポイント:最初からAI導入を狙わず、足元の課題を整理することが成功の第一歩
ステップ2:小規模デジタル化(デジタイゼーション)
- 既存業務をデジタルに置き換える
- 例:
- 紙の日報 → タブレット入力アプリ
- FAX注文 → クラウド発注システム
- Excel台帳 → クラウド型管理ソフト
- 補助金の活用(IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金 など)で投資コストを抑える
👉 成功事例:
ある中小ゼネコンでは、クラウド型労務管理ソフトを導入することで月20時間の事務作業削減を実現。
ステップ3:業務プロセスのデジタル連携(デジタライゼーション)
- 部門間の情報をシームレスにつなぐ
- 例:
- 現場の進捗管理(写真+日報アプリ) → 本社の工期管理システムに自動連携
- 原価管理ソフトと会計ソフトを連携させ、リアルタイムにコスト把握
- DX化により、**「報告が遅れる」「データがバラバラ」**というムダを解消
👉 最新動向:
国交省も「BIM/CIMの活用義務化」を段階的に進めており、設計~施工~維持管理までデータをつなぐ仕組みが求められています。
ステップ4:AI・IoTの実践活用
- AI活用例
- ChatGPTなど生成AIを用いた見積書や施工計画のドラフト作成
- AI画像解析による安全管理(ヘルメット未着用検知、危険エリア侵入検出)
- 過去の施工データから工期・原価を予測するAI分析
- IoT活用例
- センサーによる重機稼働状況の自動記録
- ドローンによる施工進捗の3D測量
👉 成功事例:
大手ゼネコンでは、AIを使った工程シミュレーションにより工期短縮とコスト削減を実現。中小企業でも廉価なAIサービスを使い、部分導入が可能になってきています。
ステップ5:新たなビジネスモデルの創出
DXは「効率化」だけでなく、「新しい収益モデル」を作り出す可能性を秘めています。
- 維持管理業務のデータ提供サービス化
- IoTセンサーで設備の稼働状況を監視し、保全契約モデルを展開
- AIで過去データを学習し、建設ノウハウを外販サービスとして提供
👉 例:
ある地方の建設会社は、施工現場データを蓄積してシミュレーションサービスを提供し、新しい収益源を確保しました。
建設業DX 実践ロードマップ
ここからは「どう進めるか」を時系列で整理します。
フェーズ1(0~6か月):準備・調査
- DX推進チームを立ち上げ
- 現状業務フローを可視化(紙・Excelの棚卸し)
- DX導入の目的を明確化(例:労務削減、原価管理強化、安全管理向上)
フェーズ2(6~12か月):部分導入
- 優先度の高い業務に小規模DXを導入
- 例:クラウド日報、勤怠管理アプリ、原価管理ソフト
- 補助金を活用し、低コストで実証実験(PoC)を行う
- 社員研修を実施し、ITリテラシーを向上
フェーズ3(1~2年):全社展開
- 各システムを連携し、業務のデジタル一元管理
- 現場と本社の情報をリアルタイムで共有
- KPIを設定(例:工期短縮率、原価削減率、事務作業削減時間)し、効果を数値で把握
フェーズ4(2~3年):AI・IoT本格導入
- AIを活用した工程シミュレーション・原価予測
- IoTセンサーやドローンによる現場データの自動収集
- データ分析に基づく経営意思決定の高度化
フェーズ5(3年以降):ビジネスモデル革新
- データを活用した新サービスの創出
- DXを経営戦略に組み込み、「データを資産化する企業」へ
- 地域や協力会社とのデータ連携プラットフォームを構築
成功のポイントと注意点
DX導入には成功パターンと失敗パターンがあります。
成功する企業の特徴
- 経営層が旗を振る(トップダウンで推進)
- 現場の声を取り入れる(ボトムアップで改善点を発見)
- 補助金・外部支援を活用してリスクを抑える
- 小さく始めてスピード感を持つ
失敗しがちなケース
- システム導入が目的化し、現場で使われない
- 担当者任せで経営層が関与しない。経営層がわかってないの口だけ出すもNG!
- 全社一斉導入を狙い、コストが膨らむ
- DXを「効率化」だけに留め、成長戦略に結び付けられない
まとめ
建設業DXは、**「紙からクラウドへ」→「システム連携」→「AI・IoT活用」→「新ビジネス創出」**というステップで進めるのが現実的です。
特に中小企業にとっては、補助金を活用した小さな一歩から始め、成功体験を積み重ねることが重要です。
これからの建設業は、「人手不足を補うためのDX」から「利益を伸ばすためのDX」へとシフトしていきます。
次回はシリーズ総まとめとして、建設業DX・AI活用の未来展望について解説します。
問い合わせ
本日は「建設業向けDX・AI活用シリーズ 第5回~建設業DXの導入ステップと実践ロードマップ~」というテーマで書かせていただきました。特に導入のステップの部分などはお役に立てる内容ではないかと思います。
ちなみにi-consulting officeでは、これからDXを考えたいけどどうすればいいかわからないという企業向けのDX推進のために従業員に他人事から自分事に考え方を変えてもらう研修を実施しています。
ご興味ご関心のある方はぜひ、お問い合わせください。
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宜しくお願いします。
本日のお仕事
本日は、愛媛県で財務研修の講師をしておりました。
家に帰ってからは明日の打ち合わせの準備。資料が全然進んでいない!
正直しんどい。