建設業DX・AI活用シリーズ 第4回~建設業における業務連携とDXの可能性~

こんばんは。i-consulting office(アイ・コンサルティング・オフィス)の田中健太郎です。

社長も社員も働くことが楽しいと思える会社づくりのお手伝いをモットーに
中小企業の経営支援を以下の内容を中心に行っています。

  • クロスSWOT分析を活用した「積極戦略」の構築支援
  • お金のブロックパズルによる「キャッシュフロー経営」のサポート
  • 業務のデジタル化支援を通じた「生産性向上」コンサルティング
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AIコンサルティング

といろいろ書いてますが、最近はもっぱら
”DX・AIを中心にした研修講師”が主な業務です。

経営に関するお困りごと、従業員育成に興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「わかりやすく、具体的に」を意識して、経営の現場に即したご支援を心がけています。

本日は「建設業向けDX・AI活用シリーズ 第4回~建設業における業務連携とDXの可能性~」と言うテーマで書いておきたいと思います。建設業は社内だけでなく様々な協力会社などとの連携をしています。
しかし、DXが進んでいない業界なだけに外部とのやりとりや社内でのやりとりもいまだに紙の文化が根強いと思います。そうした文化を少しでも変えるきっかけになればという想いが今回のブログの内容です。

はじめに

1. 建設業はなぜ「つながらない業界」と言われるのか

建設業界は「分断」が多い業界と言われます。
その理由は大きく3つです。

  1. 多重下請け構造
    • 元請、一次下請、二次下請…と階層が多く、情報が上から下へ「伝言ゲーム」のように流れる。
    • 図面修正や仕様変更が現場に届くまで時間がかかり、手戻りが頻発。
  2. 紙・FAX文化の根強さ
    • 発注書、請求書、施工報告書などが紙でやり取りされる。
    • Excelファイルは存在しても「メール添付」で止まり、リアルタイム性がない。
  3. 部門ごとの縦割り
    • 設計、施工管理、営業、経理がそれぞれバラバラのシステムを使っている。
    • 同じデータを何度も入力し直す「二重・三重入力」が当たり前になっている。

この「つながらなさ」が、コスト増、納期遅れ、人材の負担を生み、経営課題に直結しています。


2. DXで「つなぐ」ことが競争力の源泉に

DXの本質は「部門間・企業間をデジタルでつなぐこと」です。
建設業では、以下のような「流れの断絶」をなくすことがポイントになります。

  • 設計 ⇔ 施工:BIM/CIMによるモデル共有
  • 施工 ⇔ 協力会社:クラウドで図面・工程・出来高を共有
  • 施工 ⇔ 経営:原価・進捗データをリアルタイムで本社に伝達
  • 企業 ⇔ 企業:電子契約・電子請求で事務作業を一気に効率化

3. 具体的な「つながるDX」事例

(1) 設計~施工の連携(BIM/CIM)

  • 3Dモデルで干渉チェックを実施、施工前に問題を発見
  • 設計変更があっても、即座に施工図や現場端末へ反映
  • 手戻り削減で数百万円規模のコスト削減

(2) 施工~協力会社の連携(クラウド共有)

  • 元請と下請が同じクラウド上で工程表を編集
  • 写真・動画を共有して遠隔検査を実施
  • 協力会社が現場に来なくても確認可能 → 移動時間・残業削減

(3) 施工~経営の連携(リアルタイム原価管理)

  • 現場が入力した出来高・原価がERPに自動反映
  • 経営層は「今週の赤字案件」をすぐに把握
  • AIが将来の利益率を予測し、対策をアラート

(4) 企業間の連携(電子契約・CCUS)

  • 請負契約を電子化 → 印紙税不要・郵送コスト削減
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)と連携 → 技能者の就業履歴を一元管理
  • 技能者評価が透明化され、人材確保にもプラス

4. 生成AIが「人と人の連携」を支える

生成AIは「書類を作る」だけでなく、「人と人をつなぐ役割」を担えるようになっています。

  • 多国籍人材とのコミュニケーション
    • ChatGPTやCopilotをTeamsに組み込み、現場で自動翻訳
    • 外国人技能実習生も即座に指示を理解できる
  • 会議・打ち合わせの効率化
    • 音声をAIがリアルタイム議事録化
    • 要点を要約し、関係者に即シェア
  • 協力会社への発注・連絡
    • AIがメールや文書を自動生成
    • 過去の発注履歴を参照し、ミスのない依頼書を作成

AIは「現場秘書」として、情報を整理し、必要な人に届ける役割を果たします。


5. 中小建設会社における実践例

事例①:地方ゼネコン

  • クラウド工程表+AI議事録を導入
  • 職長会議の内容をAIが即要約、協力会社へ自動配信
  • 共有スピードが上がり、現場の段取り力が改善

事例②:専門工事会社

  • Teams+生成AIで外国人技能実習生と多言語チャット
  • 「安全指示が伝わらない」問題が解決
  • 事故リスクが減少し、労災発生率が低下

事例③:公共工事対応企業

  • 電子契約+CCUS連携を導入
  • 役所への提出書類作成が自動化
  • 担当者の残業が月20時間削減

6. DX導入のステップ(連携視点で)

  1. 現場の声を拾う
    • 「この情報が届かない」「二重入力が多い」など不満を洗い出す
  2. 小さな連携から始める
    • 日報をクラウド化
    • Teams+AI議事録を試す
    • 協力会社との見積書やり取りを電子化
  3. データを一元化する
    • ERPやBIM、IoTを連携し「一度入力したら全体に反映」へ
  4. 外部とのつながりを広げる
    • 協力会社、発注者、公共システム(CCUSなど)へ展開
  5. 文化として根付かせる
    • DX研修を実施し、「つながると楽になる」を現場で実感させる

7. 補助金を活用した導入加速

  • IT導入補助金:クラウド型施工管理システム導入に利用可能
  • ものづくり補助金:IoTやBIMツール導入に適用
  • 小規模事業者持続化補助金:電子契約やAI議事録などの小規模導入に有効

補助金を活用すれば、投資負担を抑えつつスピーディーにDXを進められます。


まとめ

建設業は「つながらない」ことが最大の課題です。
しかし、DXと生成AIを活用すれば、

  • 設計⇔施工⇔経営の分断をなくす
  • 協力会社や多国籍人材とも円滑につながる
  • 情報の一気通貫でスピード・利益率・安全性が向上する

という大きな成果が期待できます。

第5回では「建設業DXの導入ステップと実践ロードマップ」 を取り上げ、
中小建設会社が「どこから始め、どう広げるか」を具体的に紹介します。

問い合わせ

本日は「建設業向けDX・AI活用シリーズ 第4回~建設業における業務連携とDXの可能性~」というテーマで書かせていただきました。自社だけでなく、外部との協力体制に役立つことができるブログになっていれば幸いです。
ちなみにi-consulting officeでは、これからDXを考えたいけどどうすればいいかわからないという企業向けのDX推進のために従業員に他人事から自分事に考え方を変えてもらう研修を実施しています。
ご興味ご関心のある方はぜひ、お問い合わせください。

お問い合わせページ:https://icon-office.com/contact
Instagram:https://www.instagram.com/i_consulting_office/
LINE公式アカウント:https://lin.ee/xHeD62c

宜しくお願いします。

本日のお仕事

本日はほぼ終日、補助金セミナーに向けての資料作りでした。良いものができたと思います。
あとはY社の経営診断についての資料作成が全然終わっておりません。これまた大変です。
・補助金セミナー資料作成&依頼者へ送付
・Y社 経営診断結果報告資料作成
・ちょっと机の上の掃除

一覧へ戻る