後継者こそ決算書をよめるようになろう!

朝でも昼でもこんばんは。〝次世代経営者育成パートナー〟中小企業診断士の田中 健太郎です。

最近、後継者の方や、社長になりたての二代目の方に、経営のお話をする機会が増えてきました。特に多いのが会計とITの話です。「誰かにちゃんと教わる機会がないまま、気づいたら継ぐことになっていた」という声を、本当によく聞きます。

そこであらためて、次世代の経営者の方に向けた全10回の講座を始めることにしました。そんな理由もあって、これからしばらくの間、このブログは後継者・後継者候補の方に読んでいただきたい内容を書いていきます。もちろん現社長の方が読んでも損はしない話にしていきますので、よかったらお付き合いください。

本日は、その第一歩として「後継者こそ決算書を読めるようになろう」というお話です。

こんな方におすすめ

  • 会社を継ぐことは決まったが、決算書の見方は教わっていない
  • 売上は分かるが、利益とキャッシュの違いを説明できない
  • 経理も数字も、これまで全部ベテラン社員や税理士さん任せだった
  • 税理士さんの説明をうなずいて聞いているが、正直よく分かっていない
  • 息子・娘に会社の数字を教えてやりたいが、自分でうまく教えられない

はじめに

「会社を継ぐことになったんですけど、決算書がよく分からなくて」

「売上は分かります。でも利益とかキャッシュとか言われると、ちょっと……」

後継者の方とお話をしていると、こんな言葉をよく聞きます。恥ずかしそうにおっしゃる方が多いのですが、これはまったく珍しいことではありません。

むしろ、営業や製造など現場をずっと引っ張ってきた後継者ほど、数字が苦手というケースが多いんです。それはサボっていたからではなく、単純に教わる機会がなかったからですよね。現場を回すことが最優先だったわけですから。

ただ、それでも私は、後継者の方にこそ会計を学んでほしいと思っています。社長になるということは、会社のお金について最終的に判断する立場になる、ということだからです。

「簿記2級を取れ」という話ではありません

ここで誤解してほしくないのですが、後継者は簿記2級を取るべきだ、仕訳を全部理解しなければならない、という話ではありません。

簿記の知識はあるに越したことはありません。でも経営者に必要なのは、会計の専門家になることではないんです。

大切なのは「この会社は今、どんな状態なのか」を数字から読み取れることです。

たとえば、こんなことを考えるために会計があります。

  • 売上は増えているのか
  • 利益は増えているのか。減ったとしたら、なぜ減ったのか
  • お金は残っているのか
  • 借入金は多すぎないか
  • どの商品・どのお客様が儲かっているのか
  • これ以上、人を採用しても大丈夫なのか
  • この設備投資は、本当にやっていいのか

どれも、社長になったら必ず自分で決めなければならないことばかりです。

売上が増えたのに、お金が減っていた

たとえば、こんな会社があったとします。従業員18名の製造業、仮にA社としましょう。

前期の売上は1億円。今期は新規の取引先を2社開拓して、売上は1億2,000万円になりました。20パーセントの増収です。社内は「今年はよく頑張った」という空気でした。

ところが決算書が出てきたら、経常利益は前期の600万円から380万円に減っています。さらに通帳を見ると、去年の同じ時期より現預金が900万円ほど少ない。

「売上が2,000万円も増えたのに、なんでお金が減ってるんだ」

後継者としては、ここで疑問を持てるかどうかが分かれ道です。

では、なぜこうなるのか。理由はだいたい、次のどれかに当てはまります。

原因1 材料費や外注費が上がっていた

売上が20パーセント増えても、材料の仕入単価が上がっていれば粗利は増えません。1億円のときの粗利率が28パーセント、1億2,000万円のときが24パーセントだったとすると、粗利額は2,800万円から2,880万円。売上が2,000万円増えても、粗利はたった80万円しか増えていない計算です。

原因2 増えた仕事を回すために人が増えた

受注が増えれば、当然その分の手間がかかります。2名増員して人件費が年間700万円増えれば、粗利の80万円増などあっという間に吹き飛びます。

原因3 売掛金と在庫が膨らんだ

これがいちばん見落とされます。新規のお客様の支払サイトが、既存客より1ヶ月長かった。前受けだったものが後払いになった。仕事が増えたので材料を多めに持つようになった。

売上が増えると、その分だけ売掛金と在庫にお金が寝ます。利益が出ているのに現金がない、という状態はこうして生まれます。

運転資金は、ざっくりこう計算します。

運転資金 = 売掛金 + 在庫 - 買掛金

売上が2割増えれば、この運転資金も2割前後増えるのが普通です。増えた分のお金は、どこかから持ってこないといけません。銀行から借りるか、自社の現預金を取り崩すかです。

つまり、売上だけを見ていても会社の本当の状態は分からない、ということですね。

後継者がまず見るべき3つの数字

では、数字が苦手な後継者は何から始めればいいのか。私は、まずこの3つで十分だと思っています。

1つめ 売上

いくら売っている会社なのか。前年と比べてどうなのか。過去5年ではどう動いているのか。商品別・お客様別ではどうなのか。

まずは売上の「変化」を見るところからです。金額そのものより、どっちに動いているかのほうが大事です。

2つめ 利益

売上から、最終的にいくら残っているのか?

売上1億円で利益100万円なら、利益率は1パーセント。売上5,000万円で利益500万円なら、利益率は10パーセントです。売上が大きい会社イコール儲かっている会社、とは限らないわけです。

後継者の方には、まず自社の利益率を言えるようになってほしいと思います。これが言えるだけで、銀行との会話の質が変わります。

3つめ お金

そして、実際に会社にお金が残っているのか。

ここが後継者にとって、いちばん重要です。利益が出ていてもお金が足りなくなることがありますし、逆に利益が少なくても一時的にお金が多く残っていることもあります。

利益とお金は同じではありません。だからこそ、後継者には「利益を見る目」と「お金を見る目」の両方が要るんです。

決算書は「過去の成績表」ではありません

決算書というと、税理士さんが作るもの、銀行に見せるもの、税金を計算するためのもの、というイメージを持っている方も多いと思います。

でも経営者にとっては、それだけのものではありません。

私は、決算書は会社の現在地を知るための地図だと考えています。

現在地が分からなければ、次にどこへ向かうか決めようがないですよね。新しい設備を入れる、社員を採用する、新規事業を始める、営業エリアを広げる、値上げをする。どの判断も、土台になるのは自社の数字です。

「社長が何の話をしているのか分からなかった」

先日、製造業の二代目の方から、こんな言葉をいただきました。

「これまで経営会議に出ても、社長が何の話をしているのか正直分かっていませんでした。でも決算書の説明を聞いてから、会議で出てくる話の意味が分かるようになりました」

私はその方に、特別なことは何もしていません。自社の決算書を一緒に開いて、どの数字が何を表しているのかを順番に説明しただけです。

でも、これは小さな変化ではないと思っています。

会議の内容が分かるということは、その場で自分の意見が言えるようになる、ということだからです。数字が分からないうちは、どうしても黙って座っているしかないですよね。そして黙って座っている時間が長いほど、後継者は会社の中で発言しづらくなっていきます。

逆に言えば、決算書が読めるようになるだけで、会議の景色は変わります。社長の言っていることの意味が分かる。分かるから質問ができる。質問ができるから、社長のほうも本音で話すようになる。この順番なんです。

地図を読む練習は、失敗しながらで構いません。他社の事例で学ぶより、自社の決算書で学ぶほうが圧倒的に早いですから。

まずは自社の決算書を開いてみてください

もしあなたが後継者なら、ぜひ一度、自社の決算書を開いてみてください。難しい分析は要りません。

確認するのは3つだけです。売上はいくらか。利益はいくらか。去年と比べてどうなっているか。

そして数字を見て「なんでこうなってるんだろう」と思うところがあれば、それが経営を学ぶスタートです。

分からないことがあっても、まったく問題ありません。むしろ、分からないことに気づけたことのほうが大きな一歩です。分からないまま社長になるのがいちばん怖いですから。

まとめ

今日お伝えしたかったことは3つです。

1つめ。後継者に必要なのは簿記の資格ではなく、自社が今どんな状態かを数字から読み取る力です。

2つめ。売上だけを見ていても会社の状態は分かりません。売上・利益・お金の3つをセットで見てください。

3つめ。社長になる準備は、社長になってから始めるものではありません。後継者である今だからこそ、失敗しながら数字を触れる時間があります。

完璧を目指さなくて大丈夫です。まずは自社の決算書を1期分、机の上に出すところからで十分です。

なお、最近は生成AIに「この数字から気になる点を3つ挙げて」と投げれば、考えるきっかけをくれます。ただ、その答えが自社に当てはまるかを判断するのは結局こちら側です。まずは数字を読む土台をつくるのが先で、AIの使い方はその次のステップとして、またあらためて書きますね。

よくある質問

Q. 決算書は3期分くらい見たほうがいいですか。

A. 可能なら3期分を並べてください。1期だけだと、それが良いのか悪いのか判断できません。売上・粗利・経常利益・現預金・借入金の5行だけをエクセルに並べるだけでも、会社の動きが見えてきます。

Q. 税理士さんに聞けばいいのでは、と思ってしまいます。

A. 聞くのは大事ですし、遠慮なく聞いてください。ただ税理士さんは基本的に過去の数字の専門家です。これから設備投資をするか、人を採用するか、といった未来の判断はご自身で決めることになります。そのために読める必要があるんです。

Q. 現場が忙しくて勉強の時間が取れません。

A. まとまった勉強時間は要りません。月次試算表が出てきたときに、前月と比べて5分だけ眺める。これを毎月続けるほうが、休日に本を1冊読むより効きます。

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本日は「後継者こそ決算書を読めるようになろう」というテーマでブログを作成しました。

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本日のお仕事

本当に久しぶりにブログを作成してみた。ブログに関しては考えすぎない程度に書こう。
もちろん、役に立つようなブログは意識するけれども

・T社 経営会議資料 経営数字整理と後継者向け勉強会資料準備
・H社 面談資料 販路開拓先の整理及び提案準備
・N社 ITILL研修作成

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