「社長の右腕を、AIで作ってみた(第4回・安全編)」

朝でも昼でもこんばんは。〝経営数字とAI活用のパートナー〟中小企業診断士の田中 健太郎です。

前回は、AIに役割を与えて道具を持たせたら、相談相手が実際に動くスタッフに変わった、という話をしました。便利さを実感してもらえたと思います。だからこそ、今日はその裏側の話です。予定表やメール、ファイルをAIに触らせるということは、便利さと引き換えに、事故の芽も抱えるということ。今日は、その芽を摘んでおくための注意点を、まるまる一回かけてお伝えします。地味ですが、一番大事な回です。

こんな方におすすめ

  • AIにファイルやメールを任せたいが、なんとなく怖くて踏み切れない
  • 大事なデータを消されたり、上書きされたりしないか心配だ
  • 便利そうだけど、どこまで許可していいのか線引きが分からない
  • 従業員にAIを使わせたいが、情報の扱いが不安だ
  • 「とりあえず全部許可」で使ってしまっている自覚がある

はじめに

正直に言います。AIを止めてしまう人の多くは、難しさよりも「怖さ」でやめます。何をされるか分からないものに、自社の情報は預けられない。これはまっとうな感覚です。

でも、怖いからと使わないのは、もったいない。怖さの正体は「AIが何でも勝手にできてしまうのでは」という不安です。ここを正しく設計すれば、AIは、人間の新人さんよりずっと安全に働かせることができます。今日はそのための、たった3つの約束をお話しします。

ヒヤリとした話:危うく上書きするところだった

偉そうに言っている私も、一度ヒヤリとしています。ある日、提案書の手直しをAIに頼んだとき、私は「直しておいて」とだけ伝えました。AIはご丁寧に、元のファイルにそのまま上書きしようとしたんです。もし気づかずに進んでいたら、半日かけて作った元の版が、消えていました。

このとき分かったのは、AIに悪気はない、ということです。むしろ気を利かせて、頼まれたとおりにやろうとしただけ。問題は、私が「元は残してね」と伝えていなかったことにあります。人間の新人さんなら空気を読んで原本を残すところを、AIは言われたとおり素直にやる。だからこそ、こちらが先回りしてルールを決めておく必要があるんです。

約束その1:上書きと削除は、勝手にさせない

一つ目の約束です。AIには「ファイルを勝手に上書きしない、勝手に消さない」と、はっきり決めておきます。

やり方は簡単で、第2回でお話しした指示書に、その一文を書いておくだけです。私の指示書には「既存のファイルは上書きしない。直すときは別名で新しく作る」「削除はしない」と入れています。こう書いておくと、AIは元のファイルを残したまま、たとえば〝提案書_修正版〟のように新しく作ってくれる。元はそのまま無事です。たった一文ですが、これが効きます。先ほどのヒヤリも、この一文で起きなくなりました。

約束その2:迷ったら、勝手に進めず先に聞かせる

二つ目です。AIには「迷ったときや、後戻りできない作業をするときは、勝手に進めず、先に私に確認する」と決めておきます。

たとえばメールの送信、予定の削除、たくさんのファイルの一括変更。こういう「やってしまうと取り消しにくい作業」は、実行前に必ず一声かけさせる。私の場合、メールはAIに下書きまでは作らせますが、送信ボタンは必ず自分が押すと決めています。これだけで、誤送信の事故はほぼ起きません。便利さと安全のちょうどいい境目が、この「下書きまではAI、最後のひと押しは人間」なんです。人間の部下に任せるときと、考え方はまったく同じですよね。

約束その3:見せる情報は、必要なぶんだけ

三つ目は、情報の渡し方です。AIに会社のすべてを見せる必要はありません。仕事に必要なぶんだけ見せる。これが基本です。

たとえば私は、お客様の経営相談に使うフォルダと、AIに任せるブログ用のフォルダを、最初から分けています。ブログを書かせるAIに、お客様の機密資料が入った場所まで見せる理由はないからです。とくに気をつけたいのが、お客様の個人情報や、決算書のような数字、まだ公にしていない計画。こうした情報は、AIに渡す前に一拍おいて「これは本当に見せる必要があるか」と考える。社員に書類を渡すとき、関係ない機密まで一緒に渡したりはしませんよね。あの感覚です。

従業員に使わせるなら、ここを決めておく

もし社内の何人かでAIを使うなら、もう一段だけ備えておきましょう。むずかしいルールはいりません。「お客様の個人情報や決算の数字は、許可なくAIに入れない」「AIが作ったものは、人が必ず目を通してから外に出す」。この二つを口頭でいいので共有しておくだけで、ずいぶん事故は減ります。

架空の例で考えてみます。従業員5名の工務店で、見積書づくりにAIを使い始めたとします。便利だからと、社員さんが過去の見積を片っぱしからAIに読ませた。その中に、ある施主さんの住所と工事金額が含まれていた——これは、ちょっと立ち止まりたい場面です。悪意はなく、ただ便利に使っただけ。でも、お客様の情報の扱いとしては慎重であるべきです。先の二つのルールを最初に決めておけば、この「悪気のないヒヤリ」を防げます。便利さに走る前に、半日でいいのでルールを決める。これが効きます。

怖がりすぎなくていい。順番を守ればいい

ここまで注意点を並べましたが、最後に肩の力を抜いてください。完璧な防御を組んでから始める必要はありません。順番を守ればいいだけです。

まずは、消えても困らない作業から任せる。ブログの下書きや、たたき台の資料づくりあたりが手ごろです。慣れてきたら、上書き・削除をさせない一文を指示書に入れる。さらに慣れたら、メールや予定とつなぐ。最初から全部を完璧にではなく、安全を確かめながら一段ずつ。人を育てるときも、いきなり金庫の鍵は渡しませんよね。AIも同じで、信頼を確かめながら任せる範囲を広げていけば大丈夫です。

まとめ

今日の話を三つにまとめます。

  • AIに悪気はない。素直にやるからこそ、上書き・削除をさせないルールを先に決めておく
  • 後戻りできない作業は、勝手に進めさせない。下書きまではAI、最後のひと押しは人間
  • 見せる情報は必要なぶんだけ。機密は渡す前に一拍おく。複数人で使うなら最低限のルールを共有する

安全対策というと身構えますが、やっていることは、新人さんに「これは勝手にやらないでね」と伝えるのとほとんど同じです。特別なIT知識はいりません。むしろ、ふだん人に任せるのが上手な経営者ほど、AIにも上手に任せられます。怖さの正体さえ分かれば、AIは心強い右腕になります。

次回はシリーズの締めくくりです。ここまでで土台・社員づくり・安全と来ましたので、最終回は、実際にこのチームを動かしてみて何が変わったのか、そしてこれから始める方が最初の一歩をどう踏み出せばいいのかを、私の本音でお話しします。

よくある質問

Q. 一度上書きされて消えたファイルは、戻せますか?

A. 保存先によっては、過去の版から戻せる場合があります。ただ、戻せない前提で「上書きさせない」を先に決めておくのが安全です。守りは、起きる前に張るものです。

Q. AIに会社の情報を渡すと、外に漏れませんか?

A. 使うサービスの設定によります。だからこそ、機密は必要なぶんだけにしぼるのが基本です。心配な情報は、そもそも渡さない、という線引きが一番確実です。

Q. ルールは、どこに書いておけばいいですか?

A. 第2回でお話しした指示書に書いておくのがおすすめです。AIが毎回最初に読むので、約束を忘れません。口頭の約束より、書いた約束のほうが守られます。

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本日は「社長の右腕を、AIで作ってみた(第4回・安全編)」というテーマでブログを作成しました。

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本日のお仕事

本日は日本代表がブラジルに負けたせいでややモチベーションが落ち気味です。
なんというか、やっぱりブラジルはボールを止める、ドリブルする、パスを出すという
当たり前のレベルが高いなと。
多分、というか私もそう思いますが今回のW杯、日本は1勝しかしていないという事実に
サッカー評論家の記事が盛り上がるんだろうなと。

・N社 資金繰り表作成と経営改善計画書作成
・L社 報告書送付
・HP追加作成
・DX推進のための研修資料作成

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