2026.7.8
「社長の右腕を、AIで作ってみた(第5回・最終回)」
朝でも昼でもこんばんは。〝経営数字とAI活用のパートナー〟中小企業診断士の田中 健太郎です。
全5回でお届けしてきた「社長の右腕を、AIで作ってみた」も、今日が最終回です。準備、土台となる指示書、社員づくり、そして安全。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。最後は理屈をいったん脇に置いて、実際にこのチームを動かしてみて何が変わったのか、そしてこれから始める方が最初の一歩をどう踏み出せばいいのかを、私の本音でお話しします。
こんな方におすすめ
- AIチームで実際のところ何が変わるのか、リアルな話を知りたい
- やってみたい気持ちはあるが、最初の一歩が重い
- 忙しくて、結局いつも「あとでやろう」で止まってしまう
- 小さく始めて、無理なく続けたい
- シリーズをここまで読んで、自分でも始めてみようと思っている
はじめに
4回にわたって、わりと具体的な話をしてきました。でも、いくら理屈を並べても、最後に背中を押すのは「やってみたら、こうなったよ」という生の声だと思っています。だから今日は、私自身に起きた変化を、いいことも、そうでもなかったことも含めて、正直にお話しします。
変わったこと その1:朝のはじまりが、まるで違う
一番大きかったのは、朝です。以前の私は、朝にまず予定表とメールを開き、今日は誰と会うんだったか、急ぎの返信はどれか、と頭の中を整理するところから一日が始まっていました。これに、毎朝だいたい30分はかかっていたと思います。
今は、秘書役のAIが、その日の面談相手と時間、準備すべきこと、返信がまだのメールを、朝いちばんにまとめて届けてくれます。私は届いたものに目を通して、優先順位を決めるだけ。あの「頭を立ち上げる30分」が、ほぼ消えました。月20日働くとして、ひと月で10時間。年にすれば120時間です。数字にすると、地味な作業の積み重ねが、どれだけ時間を食っていたかがよく分かります。
ただし、メールチェックなどは気を付けてください。未返信のメールなども教えてくれるのですが、抜けていることがありました。これは、指示書の設定が甘かった部分があると思いました。
変わったこと その2:「あの資料どこだっけ」が消えた
二つ目は、探し物の時間です。過去の議事録、似た案件で作った提案書、去年のセミナー資料。こういうものを探すのに、地味に時間を取られていました。見つからずに、結局また一から作り直したことも一度や二度ではありません。
ファイルの保管場所をAIとつないでからは、「メズパルさんの初回面談のメモ、どこにあった?」と聞けば、探してきてくれる。あの細切れの探し物時間が、ごっそりなくなりました。時間そのものより、「探しても見つからないかも」というあの小さなストレスが消えたことのほうが、私にはありがたかったです。
正直に言うと、最初の2週間はうまくいかなかった
いいことばかり並べると嘘くさいので、正直に書きます。最初の2週間は、むしろ手間が増えました。
指示書は薄いし、役割もぼんやり。AIの返事もいまひとつで、「これなら自分でやったほうが早いな」と何度も思いました。第1回でお話しした、9人作って持て余したのも、ちょうどこの時期です。やめようかと思った瞬間も、正直ありました。
でも、ここで投げ出さずに、指示書を一文ずつ足し、担当を3人にしぼり直した。そうやって2週間ほど我慢して育てたら、ある日から急にラクになったんです。最初の手間は、後から効いてくる投資でした。これから始める方には、この「最初はうまくいかない期間」が必ずある、と先にお伝えしておきます。そこで諦めないでください。
一番の変化は、時間より「気持ちのゆとり」だった
時間が浮いた話をしてきましたが、振り返って一番大きかったのは、実は気持ちのほうです。
細かい雑務を「これはAIがやってくれている」と思えるだけで、頭の片すみがずっと軽い。おかげで、お客様のことを考える時間や、新しい企画を練る時間に、頭を使えるようになりました。経営者にとって一番もったいないのは、社長にしかできない仕事の時間が、誰でもできる雑務に侵食されることだと思います。AIチームは、その侵食を押し返してくれる。私にとっては、そこが一番の価値でした。
これから始める方へ:最初の一歩は、これだけ
では、何から始めればいいか。5回ぶんを欲張る必要はありません。最初の一歩は、これだけで十分です。
まず、自分の仕事を棚卸しして、毎日発生して手放したい作業を一つだけ選ぶ(第1回)。次に、自分と会社のこと、大事にしている価値観を、数行でいいので指示書に書く(第2回)。そして、その一つの作業を担当するAIを一人だけ立てて、消えても困らない仕事から任せてみる(第3回・第4回)。これだけです。全部いっぺんにやろうとすると、必ず途中で止まります。一つ任せて、便利さを一度でも体感すること。そこさえ越えれば、あとは自然と「次はこれも」と広がっていきます。
まとめ
シリーズ全体を、三つにまとめます。
- AIチームで変わるのは、時間だけではない。雑務から解放され、社長にしかできない仕事に頭を使えるようになる
- 最初の2週間はうまくいかなくて当たり前。指示書を育て、担当をしぼれば、ある日からラクになる
- 最初の一歩は、手放したい作業を一つだけ選び、一人のAIに任せること。欲張らないのが続けるコツ
AIチームづくりは、特別なIT知識の勝負ではありませんでした。やっていたことは、自分の仕事を言葉にして、役割を決めて、安全に任せる。人を採用して育てるのと、ほとんど同じです。だからこそ、ふだん人に任せるのが上手な経営者ほど、うまくいきます。このシリーズが、あなたの右腕づくりの、最初の一歩になればうれしいです。5回にわたって、お付き合いいただきありがとうございました。
よくある質問
Q. 結局、月にどれくらいの費用がかかりますか?
A. 使い方によりますが、私はまず手ごろなプランから始めました。浮いた時間と気持ちのゆとりを考えれば、十分に見合っています。まずは小さく試して、効果を確かめてから判断するのがおすすめです。
Q. パソコンが苦手でも、本当に始められますか?
A. 始められます。むしろ大事なのは操作の上手さより、自分の仕事を言葉にできるかどうかです。ふだんの日本語で指示書を書ければ、入り口は十分に越えられます。
Q. 一人で始めるのが不安です。相談できますか?
A. もちろんです。最初の棚卸しや指示書づくりは、一緒に考えたほうが早いことも多いです。初回は無料でご相談を受け付けていますので、気軽に声をかけてください。
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