
2025.8.1
「売上を伸ばす4つの選択肢|アンゾフの成長マトリクスで導く戦略の方向性」
こんばんは。i-consulting office(アイ・コンサルティング・オフィス)の田中健太郎です。
社長も社員も働くことが楽しいと思える会社づくりのお手伝いをモットーに
中小企業の経営支援を以下の内容を中心に行っています。
- クロスSWOT分析を活用した「積極戦略」の構築支援
- お金のブロックパズルによる「キャッシュフロー経営」のサポート
- 業務のデジタル化支援を通じた「生産性向上」コンサルティング
- DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AIをテーマとした各種研修講師
- 経営理念策定と浸透・経営理念に基づく人事考課制度策定のご支援
- 補助金・助成金の活用に向けた「申請・計画作成」の助言
経営に関するお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「わかりやすく、具体的に」を意識して、経営の現場に即したご支援を心がけています。
本日はアンゾフの成長マトリクスについて書きます。自社の戦略を既存で深掘りするのか?それとも新製品?新市場?それとも全く別の事業をやる?いったいどれが良いのだろう?という内容をどのように判断すべきかわかる内容が書けていればいいなと思っています。12/100
アンゾフの成長マトリクスとは?
企業が成長するための戦略を4つの選択肢に分類し、それぞれのリスクと取るべきアプローチを整理するためのフレームワークが**アンゾフの成長マトリクス(Ansoff Matrix)**です。
このマトリクスは以下の2軸で構成されます:
既存市場 | 新市場 | |
---|---|---|
既存商品 | 市場浸透 | 新市場開拓 |
新商品 | 新製品開発 | 多角化 |
🔹各戦略の要点
- 市場浸透(Market Penetration)
既存の商品・サービスを既存の市場でさらに売る戦略。シェア拡大、リピート強化、価格戦略、広告投資が主軸。 - 新市場開拓(Market Development)
既存の商品を新たな市場(地域、業界、チャネル)に売る。例:海外進出、BtoBからBtoC展開など。 - 新製品開発(Product Development)
既存市場に対して新しい商品やサービスを投入。例:既存顧客のニーズに合わせた新商品開発。 - 多角化(Diversification)
新しい商品を新しい市場へ展開。最もリスクが高いが、成功すれば大きな成長余地がある。
✅このフレームワークを使うメリット
メリット | 内容 |
---|---|
戦略の方向性を明確にできる | 自社が今どの方向へ進もうとしているのかが見える |
リスクとリターンの比較ができる | 各戦略の難易度や必要投資を判断できる |
新しい発想を促せる | 普段考えていなかった新市場・新商品を検討するきっかけになる |
⚠デメリット・注意点
デメリット | 内容 |
---|---|
フレームだけで結論を出すのは危険 | 実行可能性や自社資源の制約も併せて考える必要がある |
多角化は特に難易度が高い | ノウハウ不足や過剰投資のリスクあり |
🏢企業活用例
たとえば「伝統和菓子の老舗企業」があるとします。
- 既存市場(地元)で売上が頭打ち ➤ 市場浸透で観光客向けキャンペーンを強化
- EC強化により県外販売開始 ➤ 新市場開拓
- 若者向けスイーツ開発 ➤ 新製品開発
- 全く異なる分野(ペットフード)へ進出 ➤ 多角化
このように、戦略を4象限に分解することで、次の一手が可視化されます。
🧩ヒアリング用プロンプト(穴埋め式・長文・戦略方向性特定)
#指示:
あなたは優秀な中小企業診断士です。これからクライアント企業に対して、アンゾフの成長マトリクスを用いて戦略方向性を導き出すためのヒアリングを行います。以下の各質問に丁寧に答えてもらい、戦略立案の材料を整理してください。
#概要:
目的は「現在の市場・商品構成をもとに、自社が今後どの方向に進むべきかを可視化すること」です。回答をもとに、アンゾフの4象限(市場浸透/新市場開拓/新製品開発/多角化)に沿った戦略案を構築します。
#質問事項:
①【既存顧客と市場の状況】
- 現在の主要顧客層(法人 or 個人/年齢層/業界など)はどのような人・企業ですか?
- 地理的にはどのエリアを主な市場としていますか?
- リピート率や既存顧客からの売上比率はどの程度ですか?
- 既存顧客の満足度や課題として感じていることは?
②【既存の商品・サービスについて】
- 主力となっている商品やサービスは何ですか?
- それらの競合優位性(価格・品質・納期・サポートなど)は?
- 商品やサービスの売上構成比はどうなっていますか?
③【新たな市場開拓の可能性】
- 現在は対応していないが、将来的に開拓したい市場や顧客層はありますか?
- 地域的な展開予定(県外・海外など)はありますか?
- 新たな販売チャネル(EC、代理店、業務提携など)に関心はありますか?
④【新製品・新サービスの構想】
- 既存顧客や営業現場から、新しい商品やサービスのニーズは出ていますか?
- 競合他社が提供していて、自社が未提供のサービスはありますか?
- 技術開発・仕入れ先・外部パートナーとの連携による商品開発は検討中ですか?
⑤【経営者としての成長意欲と許容リスク】
- あなたご自身として、事業拡大に対する温度感(積極的・中立・慎重)は?
- 新規投資やリスクに対して、どこまで許容できそうですか?
- 今後3年でどういった企業像を目指していますか?
#出力形式:
以下のように、アンゾフの成長マトリクスに基づく自社の戦略方向性の整理と提案を行ってください。
【現状分析サマリー】
(ヒアリング回答から要点を要約)
【アンゾフマトリクスの4象限評価】
■市場浸透:〇〇に取り組む余地あり/すでに取り組み済み
■新市場開拓:〇〇の市場が候補として浮上
■新製品開発:〇〇の開発アイデアが顕在化
■多角化:〇〇業界への進出可能性あり/リスク高いため慎重判断
【戦略提案】
今後の主戦略として、「(例:新市場開拓 × EC展開)」を軸に展開することが有効です。その理由は…
ちなみにここから、クロスSWOT分析やビジネスモデルキャンバスにつなぐ場合のことも書いておきます。
🔄アンゾフ ⇒ クロスSWOTへのつなぎ方
アンゾフの成長マトリクスで戦略の方向性(例:新市場開拓)を特定した後、**「その戦略を成功させるために、どのような強みを活かし、どの弱みを補う必要があるか」**を明らかにするのがクロスSWOT分析です。
クロスSWOTでは以下の4象限で考察を深めます:
内部要因×外部要因 | 機会(Opportunity) | 脅威(Threat) |
---|---|---|
強み(Strength) | SO戦略 強みを活かして機会を最大化 | ST戦略 強みで脅威を回避・抑制 |
弱み(Weakness) | WO戦略 弱みを補い機会をつかむ | WT戦略 弱みと脅威を最小化し守りを固める |
💡クロスSWOT分析の活用例(新市場開拓戦略を選んだ企業)
例:老舗和菓子店が「ECによる県外展開(新市場開拓)」を主戦略とした場合
要因 | 内容例 |
---|---|
Strength(強み) | 高品質な原料/職人技/地域ブランド力 |
Weakness(弱み) | EC経験なし/発送体制未整備/デジタル人材不足 |
Opportunity(機会) | 全国的な和菓子ブーム/SNSでのバズ拡散可能性 |
Threat(脅威) | 大手ECサイトとの競争/送料コスト高/模倣のリスク |
➡ クロスSWOTで導く戦略:
- SO戦略:SNSで職人のこだわりを発信し、地域ブランド力で集客
- WO戦略:外部のEC専門業者と提携して弱みを補完
- ST戦略:自社独自パッケージや地域限定商品で差別化
- WT戦略:ECのステップ導入(まずはふるさと納税から)で段階的にリスクを下げる
🧩クロスSWOT分析用 穴埋め式ヒアリングプロンプト(アンゾフ分析後に活用)
#指示:
あなたは優秀な中小企業診断士です。クライアント企業に対し、すでに特定された戦略方向性(例:新市場開拓や新製品開発など)を実現するために、SWOT分析をもとに「強み・弱み・機会・脅威」を整理し、クロスSWOT分析で具体戦略を立案してください。
#概要:
以下の質問に答えてもらい、企業の内部要因(Strength/Weakness)と外部要因(Opportunity/Threat)を明らかにし、その掛け合わせで具体的な行動プラン(SO/WO/ST/WT戦略)を導きます。
#質問事項:
【内部環境分析(Strength/Weakness)】
①自社の“強み”と自負していることは何ですか?
- 商品・技術・人材・顧客基盤・ブランド・設備などの観点で具体的に教えてください。
- 他社から「○○がすごい」と言われることがあれば教えてください。
②一方で“弱み”と感じていることはありますか?
- 売上の偏り、人材不足、コスト構造、業務の属人化、IT対応の遅れなどありませんか?
【外部環境分析(Opportunity/Threat)】
③今後の“機会(チャンス)”と感じる外部環境の変化はありますか?
- 市場トレンド、法改正、SNS流行、他社撤退など、外部要因で追い風になりそうなものは?
④“脅威”と感じている外部環境は何ですか?
- 競合の台頭、業界縮小、価格競争、原材料高騰、規制強化などはありますか?
【事業戦略との関係】
⑤今回の成長戦略(例:新市場開拓)と照らして、活かせる“強み”と補うべき“弱み”はどこにあると思いますか?
⑥上記を踏まえた行動案があれば教えてください。
#出力形式:
【SWOT分析まとめ】
- Strength:
- Weakness:
- Opportunity:
- Threat:
【クロスSWOT戦略案】
■SO戦略(強み × 機会):
→
■WO戦略(弱み × 機会):
→
■ST戦略(強み × 脅威):
→
■WT戦略(弱み × 脅威):
→
【総合提案】
⇒上記の分析を踏まえ、優先的に取り組むべき戦略は「◯◯戦略(例:WO戦略)」です。その理由は…
このようにアンゾフ ⇒ SWOT ⇒ クロスSWOTと一貫した流れでヒアリング・戦略立案ができることで、経営者自身も納得感を持って戦略を選択できるようになります。
ここまでの流れ(アンゾフの方向性 → クロスSWOT戦略)を受けて、実行フェーズに入るためのアクションプラン(行動計画)テンプレートを作成しておきます。
企業の実行力を高めるには、「戦略の具体化 → 優先順位付け → 期限設定 → 担当者明確化」が不可欠です。以下のテンプレートでは、それをSMART原則に基づいて設計しています。
✅アクションプラン作成テンプレート(戦略実行のための行動計画)
#指示:
あなたは優秀な中小企業診断士です。クライアント企業が策定した成長戦略(例:新市場開拓 × SNS活用 × 外部連携)を実際の行動に落とし込むためのアクションプランを策定してください。SMART原則を用い、誰が・いつまでに・何を・どのように実行するかを明確にします。
#概要:
以下の各質問に答えてもらい、戦略目標を具体的かつ実行可能なアクションプランに分解します。5つ程度の主要施策に絞り、実行管理しやすい形で整理します。
#質問事項:
①【戦略目標】
- 今回、実現したい中期的な戦略目標(例:半年以内にEC売上比率を20%に引き上げる)は何ですか?
②【主要施策の洗い出し】
- その目標を実現するために、どんな施策(例:ECサイト立ち上げ/広告出稿/SNS運用体制整備など)が必要だと思いますか?
③【施策ごとの詳細】
それぞれの施策について、以下の項目を具体的に記入してください:
【施策名】
(例:Instagram運用開始)
・具体的な内容(What):
(例:毎週2回の投稿を継続し、月間フォロワー100人獲得)
・達成基準(Measurable):
(例:3ヶ月後にフォロワー数300人/CV率2%以上)
・達成期限(Time-bound):
(例:2025年12月末まで)
・責任者(Who):
(例:営業部の◯◯さん)
・方法/リソース(How):
(例:Canvaによる画像作成+ChatGPTによる投稿文作成)
④【進捗管理】
- 進捗管理の頻度・方法は?(例:月1回の社内レビュー会議)
#出力形式:
【アクションプラン一覧】
No | 施策名 | 内容(What) | 達成基準(Measurable) | 期限(Time) | 担当者(Who) | 実行方法(How) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | ||||||
3 | ||||||
4 | ||||||
5 |
【進捗管理方法】
(例:毎月第1月曜日に経営層+各担当者でレビュー/未達施策には対策を議論)
【備考】
・外部支援の必要性がある施策は◯印をつけてください。
・優先順位が高いものは強調してください(★印など)
🔁アンゾフ→SWOT→クロスSWOT→アクションプランの全体像
- アンゾフで「戦略の方向性」を特定
→ 例:「新市場開拓 × EC強化」 - SWOTで内部外部の現状分析
→ 強み:職人技術/弱み:ITスキル不足 など - クロスSWOTで具体戦略へ変換
→ WO戦略:外部EC事業者との提携+販路拡大 - アクションプランで「実行可能なタスク化」
→ SNS投稿、提携交渉、社内体制づくりなどにブレイクダウン
以上が今回の流れです。
さらにビジネスモデルキャンバスに発展させる場合
アンゾフの成長マトリクス → クロスSWOT分析 → アクションプランと戦略を深めてきた流れを、**ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas, BMC)**へと発展させることで、事業構造の整合性を可視化し、実行計画の土台を固めることができます。
🔄戦略からビジネスモデルキャンバスへのつなぎ方
戦略が明確になったあと、それを「どのような事業モデルで収益に結びつけていくか」を整理するのがBMCの目的です。
ビジネスモデルキャンバスでは、事業を以下の9つの要素に分解して可視化します:
セグメント | 意味 |
---|---|
①顧客セグメント | 誰に価値を届けるのか?(ターゲット市場) |
②価値提案 | 何を価値として提供するのか?(商品・サービス・差別化要素など) |
③チャネル | どのように顧客に届けるか?(販売経路、広告手段、配送方法など) |
④顧客との関係 | どうやって関係を築くか?(サポート、SNS、会員制度など) |
⑤収益の流れ | どうやって収益を得るか?(価格モデル、収益構造) |
⑥リソース | 必要な資源は何か?(人材、設備、ブランド、技術、資金など) |
⑦主要活動 | 価値を届けるために何をするか?(製造、営業、配送、保守など) |
⑧パートナー | 外部の協力者は誰か?(仕入先、提携先、外注業者など) |
⑨コスト構造 | コストのかかるポイントは?(固定費・変動費の内訳) |
🧩ビジネスモデルキャンバスへの穴埋め式ヒアリングプロンプト
#指示:
あなたは優秀な中小企業診断士です。クライアント企業が策定した成長戦略(例:新市場開拓)を、ビジネスモデルとして具体的に構築するため、ビジネスモデルキャンバスの9要素に沿ってヒアリングを行ってください。実行可能性と収益性を高めるために、各項目についてできるだけ具体的に答えていただきます。
#概要:
以下の質問に答えていただくことで、現在または今後展開するビジネスの全体像(=ビジネスモデル)を明確にします。新規事業や新しい戦略を進める際の社内共有資料としても活用できます。
#質問事項:
①【顧客セグメント(Customer Segments)】
- あなたの提供する商品・サービスの主なターゲット顧客は誰ですか?
- 法人/個人のどちらですか?年齢層・業界・地域などの特徴も教えてください。
②【価値提案(Value Proposition)】
- 顧客にとっての「最大の魅力(価値)」は何ですか?
- 競合と比べて、どこが優れている、または違うと感じますか?
③【チャネル(Channels)】
- 顧客に商品やサービスを届ける手段は何ですか?(例:店舗/ECサイト/営業/SNSなど)
- それは顧客にとって使いやすいチャネルですか?
④【顧客との関係(Customer Relationships)】
- 顧客との関係性を築く上で工夫していることはありますか?(例:フォローアップ、会員制、アンケートなど)
⑤【収益の流れ(Revenue Streams)】
- 売上はどのような形で発生しますか?(商品単価/契約モデル/サブスクなど)
- 利益率が高い商品やサービスはどれですか?
⑥【リソース(Key Resources)】
- このビジネスにおいて最も重要な経営資源は何ですか?(例:職人技術、ブランド、人材、設備など)
⑦【主要活動(Key Activities)】
- 価値を提供し続けるために日々行っている業務は何ですか?
- 今後強化すべき活動があるとすれば何ですか?
⑧【パートナー(Key Partnerships)】
- 外部の協力者(仕入先、提携先、業務委託先など)は誰ですか?
- その関係は今後強化すべきですか?他に必要なパートナーはいますか?
⑨【コスト構造(Cost Structure)】
- 大きくコストがかかるのはどの部分ですか?(人件費/設備/広告など)
- 固定費と変動費の構成は?コストの見直し余地はありますか?
#出力形式:
【ビジネスモデルキャンバス(BMC)まとめ】
項目 | 内容 |
---|---|
顧客セグメント | |
価値提案 | |
チャネル | |
顧客との関係 | |
収益の流れ | |
キーリソース(資源) | |
キーアクティビティ(活動) | |
キーパートナー | |
コスト構造 |
【補足コメント】
・全体のバランスに違和感がある箇所(例:顧客が明確なのに価値提案が弱い等)についてアドバイスを追加。
・戦略実行に向けて、重点的に再構築すべき要素があれば明記。
🧭ここまでのフレームワークの流れ
- アンゾフの成長マトリクス:戦略の方向性を明確化(何を軸に成長するか)
- クロスSWOT分析:自社の強みと外部環境を掛け合わせて、戦略を実行に近づける
- アクションプラン:具体的なタスク・担当・期限・指標に分解して行動へ
- ビジネスモデルキャンバス:構造全体の整合性を確認し、継続的な収益化を見据える
今回は分厚い内容です。これらのプロンプトを連続してヒアリングして貼り付ければそれなりによい戦略が構築できます。
問い合わせ
i-consulting officeでは、アンゾフの成長マトリクスからSWOT分析、ビジネスモデルキャンバスまで一貫したヒアリングから戦略の方向性を導き出していきます!
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