
2025.7.24
儲かる仕組みは業界構造にあり?中小企業が使うべき『5フォース分析』のすすめ
こんにちは、i-consulting office(アイ・コンサルティング・オフィス)の田中健太郎です。
社長も社員も働くことが楽しいと思える会社づくりのお手伝いをモットーに
中小企業の経営支援を以下の内容を中心に行っています。
- クロスSWOT分析を活用した「積極戦略」の構築支援
- お金のブロックパズルによる「キャッシュフロー経営」のサポート
- 業務のデジタル化支援を通じた「生産性向上」コンサルティング
- DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AIをテーマとした各種研修講師
- 経営理念策定と浸透・経営理念に基づく人事考課制度策定のご支援
- 補助金・助成金の活用に向けた「申請・計画作成」の助言
経営に関するお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「わかりやすく、具体的に」を意識して、経営の現場に即したご支援を心がけています。
ポーター教授で有名な5フォース分析について書いてみたいと思います。4/100
はじめに
中小企業の経営者や2代目経営者の皆さん、「なぜうちの業界は儲かりにくいのか?」「競合が増えて値下げばかり…」と感じたことはありませんか?
その“構造的な原因”を見える化するのが **5フォース分析(ファイブフォース分析)**です。
5フォース分析とは?
5フォース分析とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した、業界の競争環境を分析するフレームワークです。
「自社がどのような競争にさらされているか」「なぜ利益が出にくいのか」などを、以下の5つの視点から考えます。
5つの力(フォース)
フォース | 内容 |
---|---|
① 業界内の競合の強さ | 同業他社との競争。価格競争や商品・サービスの差別化の難しさ。 |
② 新規参入の脅威 | 新しい企業が市場に入ってくるリスク。参入障壁の高さがカギ。 |
③ 代替品の脅威 | 別の手段・商品で代替されるリスク。技術革新や消費者の嗜好変化が影響。 |
④ 売り手(仕入先)の交渉力 | 仕入先が価格を決める力。部品や原材料の価格支配、代替手段の有無など。 |
⑤ 買い手(顧客)の交渉力 | 顧客が「もっと安く」と言ってくる力。顧客数や情報量の差が影響。 |
ラーメン店における「5フォース分析」具体例
では、5つの力の内容だけではわかりにくいのでラーメン店に5フォース分析を行った場合のイメージを作成しておきたいと思います。
フォース | 内容(ラーメン店での例) |
① 業界内の競合の強さ | 近所に同じ価格帯のラーメン店が3店舗あり、ランチタイムにはどこも並ぶほど。味や接客の差でリピーターが分かれるが、価格競争が激しく、値下げ合戦になりやすい。 |
② 新規参入の脅威 | フランチャイズ系のラーメンチェーンが近隣に出店予定。資本力があり広告も豊富。小規模な個人店は立地や常連客との関係性で差別化しないと厳しい。 |
③ 代替品の脅威 | 同じ価格帯で牛丼・カレー・うどんチェーンが並ぶ通りにあり、「今日は違うジャンルで」という選択肢が多く、特に若い客層は流動的。 |
④ 売り手(仕入先)の交渉力 | スープのガラや小麦粉、チャーシューの豚肉などは限られた業者から仕入れており、仕入価格の上昇が利益を圧迫。特に豚肉高騰の影響が大きい。 |
⑤ 買い手(顧客)の交渉力 | 常連客が「トッピング無料にして」「LINEクーポンまだ?」と交渉してくる。食べログやGoogleレビューで評判が売上に直結。SNS世代は評価に敏感。 |
要点まとめ
- 業界全体の「儲かりやすさ・儲かりにくさ」を客観的に見える化
- 競争が激しい部分を特定できる
- どこに打ち手(戦略)を打つべきかのヒントが得られる
中小企業が活用するメリット
メリット
- 自社の戦う場所(市場・商品)を見直すきっかけになる
- 競争相手ではなく「業界構造」そのものへの打ち手が見える
- 商品・サービス、価格、販売チャネルの工夫に論理的根拠が持てる
デメリット
- フォースの正確な把握には情報収集が必要
- 現場感覚だけでは見落としやすい部分もある
- 内部分析と併用しないと片手落ちになる可能性も
導入時に役立つ「5フォース分析」ヒアリング用プロンプト
以下は、経営者や現場責任者に対してヒアリングする際に使える、ChatGPT向けの長文プロンプトです。分析結果を反映した戦略設計にも役立ちます。
#指示
あなたは中小企業の経営コンサルタントです。以下の5フォース(競争要因)について詳細にヒアリングし、業界構造の課題や自社の競争優位の源泉を明確にしてください。各フォースに対して、具体的な事例や数値、経営者の実感をもとに聞き出し、抜け漏れなく分析を行ってください。
#ヒアリング内容(詳細)
##① 業界内の競合(既存企業との競争)
- 主要な競合はどの企業ですか?(名前・規模・地域など)
- 競合と比較して、価格・品質・サービス・納期などで優劣はどうですか?
- 価格競争は激しいですか?それはいつ頃からですか?
- 業界内で過去数年で倒産・統合・M&Aなどの動きはありましたか?
- お客様から「他社と比較される」ことはありますか?その際の比較ポイントは何ですか?
##② 新規参入の脅威
- 新規にこの業界に参入するには、どのようなハードル(初期投資・技術・許認可など)がありますか?
- 最近、業界に新しく参入してきた企業はありますか?その企業は何を強みにしていますか?
- 異業種からの参入(IT企業や海外企業など)はありますか?
- 自社の参入障壁(技術・ブランド・地域密着性など)は何だと思いますか?
##③ 代替品・代替サービスの脅威
- 自社の製品・サービスをお客様は他の方法で代替できますか?(例:内製化、デジタル化、海外製品など)
- お客様が過去に他社や代替手段に切り替えた事例はありますか?なぜですか?
- 今後、テクノロジーや社会トレンドの変化で代替のリスクが高まるとしたら何がありますか?
##④ 売り手(仕入先)の交渉力
- 主要な仕入先(取引先)はどこですか?何社ありますか?
- 原材料や部品などで価格の上下に大きく影響を受けたことはありますか?(例:円安・原油高)
- 同じ品質・価格で代替できる仕入先はありますか?
- 仕入先との取引年数や依存度はどの程度ですか?
##⑤ 買い手(顧客)の交渉力
- 主な顧客層はどのような業種・規模ですか?
- 売上構成比の上位顧客は何社ですか?(例:上位3社で50%など)
- 顧客から価格交渉されることは多いですか?その際、どんな理由が多いですか?
- 顧客が情報武装(他社比較・Web調査など)してきていると感じることはありますか?
- 顧客を失うリスクや乗り換えやすさはどの程度あると思いますか?
#出力形式
- 5フォースそれぞれについての詳細な分析(現状/課題/仮説)
- 各フォースにおける自社の強み・弱みの整理
- 今後の戦略の方向性に関する提言(例:代替品に強い商品開発、仕入先分散など)
#備考
経営者本人だけでなく、営業・製造・購買・顧客対応などの現場部門の視点もヒアリングし、多面的な情報で裏付けをとってください。
このプロンプトの質問がそのまま戦略の打ち手として回答が返ってくるようになると思います。
最後に
市場は日々変化しています。
ですが、自社が置かれている「業界構造」という地盤を理解することは、どんな経営判断よりも重要です。
ぜひ5フォース分析を活用して、「どこで勝負するか」を見極める目を養いましょう。
問い合わせ
i-consulting officeでは、自社の競争環境を知るために5フォース分析をお手伝いします。
ご興味・ご関心のある方はぜひお問い合わせください。
お問い合わせページ:https://icon-office.com/contact
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宜しくお願いします。