2025.12.1
会計業務改善コンサルティング第2回:現場ヒアリングと業務フロー整理の進め方― 属人化ポイント・非効率プロセスを浮き彫りにする方法―
朝の投稿でも昼の投稿でもこんばんは。
i-consulting office(アイ・コンサルティング・オフィス)の田中健太郎です。
私は「社長も社員も、働くことが楽しいと思える会社づくり」
をお手伝いすることを使命に、中小企業の経営支援を行っています。
そんな私の提供できるサービスを考えてこんな経営者に出会いたいと考えています。
- DX推進/生成AI活用を社内に取り入れたいが何から始めていいかわからない。
- 経営数字を使った根拠ある経営判断をしたい。
- 自社の強みを見直し、根拠のある経営計画を作成したい。
- 採用・定着を実現するための理念策定・浸透を行いたい。
といろいろ書いてますが、経営に関するお困りごとは気軽にご相談ください。
当社は「わかりやすく、具体的に」をモットーに、経営の現場ですぐに役立つ支援を心がけています!
本日は「会計業務改善コンサルティング第2回:現場ヒアリングと業務フロー整理の進め方― 属人化ポイント・非効率プロセスを浮き彫りにする方法―」と題して、会計業務に着目して書き残しておきたいと思います。
🌟こんな方におススメ
- 会計業務の属人化を改善したい方
- 現場ヒアリングをどう進めてよいか悩んでいる方
- 経理業務の流れを整理し、DXを進めたい方
- 会計システム導入の前に「業務の見える化」をしたい方
- コンサルタントとしてヒアリングの質を高めたい方
🧭はじめに:会計業務改善の“核心”はヒアリングにあり
第1回では「事前準備」が9割とお伝えしましたが、
第2回で扱う 現場ヒアリング こそ、改善活動の成否を分ける最重要ステップです。
なぜなら——
- 実際の業務の流れ
- 業務ごとの“例外処理”
- 属人化が起きている理由
- 本人でも気づいていない“ムダ作業”
- 現場の「本音」(困っていること、無駄と感じていること)
…これらは、資料だけでは絶対に見えてこないためです。
特に会計業務は、月次・年次のルーティンが固定化し、
「何となく続けている作業」が多く混ざります。
ヒアリングを体系的に行うことで、
非効率の原因・改善余地・自動化の可能性 が一気に明確になります。
✔ 現場ヒアリングの基本フロー(全体像)
- 対象業務を明確にする(事前準備)
- 業務担当者単位でヒアリングを実施
- 5W3Hで深掘り質問 → 属人化ポイントを特定
- 実際の作業画面・書類を見せてもらう(必須)
- 業務フローとして整理(AS-IS)
- 属人化・ボトルネック・ミス発生要因を可視化
- 改善アイデアを分類(削減/標準化/DX化/自動化)
今回は、特に②〜⑥の具体的な進め方を詳しく解説します。
🔍 1. 現場ヒアリングは「雑談から」始めるのが成功のコツ
会計担当者・現場担当者を前に、いきなり
「どんな作業をしていますか?」
と聞くのはNGです。
なぜなら、人は「評価される」と感じた瞬間、
本音を隠してしまうからです。
だからこそ、最初の5分は 心理的安全性をつくる時間。
【ヒアリング冒頭の鉄板フレーズ】
- 「今日は業務内容を“責める”ためではありません」
- 「あなたの日々の作業を理解し、ラクにするためのヒアリングです」
- 「改善前提なので、困っていることは遠慮なく教えてください」
この3つを最初に伝えるだけで、回答の“精度”が劇的に変わります。
🔍 2. 実際のヒアリングは「5W3H」で質問すると漏れなく聞ける
会計業務は細部に“ムダ”が潜みます。
そこで役立つのが 5W3Hを質問テンプレ化する方法 です。
▼ 5W3Hとは?
- Why(なぜ)
- What(何を)
- Who(誰が)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- How(どのように)
- How much(どれくらい)
- How long(どのくらい時間がかかるか)
📝 3. 会計業務ヒアリングの「質問リスト(保存版)」
以下は実務で使える“即使いOK”の質問セットです。
コンサル・改善担当者が現場で必ず確認すべき項目です。
◆① What:何の作業をしているのか?
- 毎日・毎週・毎月行う作業を教えてください
- 入金処理、支払処理、経費精算、売上計上、仕訳入力など、担当している業務は?
- 作業の全体像を一度、ざっくり紙に書いていただけますか?
◆② Why:なぜその作業が必要なのか?
- その作業の目的は何ですか?
- そのデータは誰が使いますか?
- 法令対応のため?社内ルールのため?慣習で続けているだけ?
※ここで慣習的作業が大量に発見されます。
◆③ Who:誰が、どこまでやっているのか?
- 作業は一人で完結?複数人で分担?
- 属人化している作業はどれですか?
- 担当者が休むと止まってしまう業務はありますか?
◆④ When:いつ、どのタイミングで行うのか?
- 月次処理の締めはいつですか?
- 支払処理は月何回?
- 入金確認は毎日ですか?週単位ですか?
◆⑤ Where:どのシステム・Excelで処理しているか?
- 会計ソフト名・バージョン
- Excelの管理ファイルは何種類あるか?
- 二重入力は発生していませんか?
◆⑥ How:作業手順の詳細(最重要)
- 入力手順を画面で見せてもらえますか?
- 仕訳は手入力?インポート?
- データ突合はExcel?紙?メール?
※手順を聞くだけでなく、必ず画面共有で確認することが重要。
◆⑦ How long:時間はどれくらいかかっているか?
- 1か月あたりの作業時間
- 1件あたりの処理時間
- 繁忙期の増加率
◆⑧ How much:ミス・手戻り・工数の定量情報
- 月に何回、入力ミスが発生しますか?
- 手戻りが発生する理由は何ですか?
- 二重チェックの工数は?
🔥 4. 5W3Hで“属人化ポイント”が見える化される
ヒアリングで特に重要なのは 属人化ポイントの特定 です。
属人化の典型例は以下の通り:
- ファイル名が担当者しか分からない
- 数式に担当者のみが設定した独自ルール
- 「この取引先だけ特別なんです」
- 「このExcelは◯◯さんしか直せません」
- 手順書が存在しない(口頭で引き継がれる)
こうした情報はヒアリングしなければ絶対に把握できません。
🗺 5. ヒアリング後は「業務フロー」で可視化する
ヒアリング内容は 業務フローチャート にまとめることで
改善対象が一目でわかるようになります。
▼一般的に使用されるツール
- Excel
- PowerPoint
- Miro(オンラインホワイトボード)
- Draw.io(無料)
- Lucidchart
中小企業の場合は Excelで十分 です。
▼ 業務フロー化のポイント(実務で使える)
- 作業を「入力→処理→確認→承認→出力」で並べる
- 作業単位ではなく“人の動き”で見る
- 承認のステップは必ず書く
- システム間のデータ連携(Excel → 会計ソフトなど)を明記する
- 例外ルートも書いておく
これを作成すると、以下が可視化されます:
- 手戻りが多い工程
- チェックが多すぎる工程
- 自動化できる工程
- 無駄な転記作業
- 属人化しているステップ
🤖 6. DX視点:ChatGPT・生成AIをヒアリングにどう使うか?
最新のAIはヒアリング業務にも非常に役立ちます。
▼(1)事前に「質問リスト」を作らせる
改善対象をAIに入力すると、自動で質問案を作成できます。
例:
「中小企業の会計業務の属人化を解消するためのヒアリング項目を出して」
▼(2)ヒアリングメモをそのままAIに投げて整理
ヒアリング後のメモをコピペすると——
- 業務フロー案
- 属人化ポイント一覧
- 改善候補案
- 優先度整理
を自動で作ってくれます。
▼(3)Excelファイルの問題点をAIに分析してもらう
数式の問題点・非効率な設計なども指摘可能です。
(AIにファイルをアップロードできる場合)
🎯 7. ヒアリング内容を改善案に落とし込むステップ
ヒアリング報告書は以下の観点でまとめます:
- 現状の業務フロー(AS-IS)
- 属人化ポイント一覧
- ボトルネック分析
- ミス・手戻り発生ポイント
- 作業時間の可視化(負荷バランス)
- DX化できる部分(自動化候補)
- 改善の優先順位
改善案は次の3区分で整理すると伝わりやすい:
- 削る(ムダ作業の廃止)
- 整える(標準化)
- 進める(DX化・自動化)
🔚 おわりに:ヒアリングで改善の“80%”が決まる
現場ヒアリングは、単なる質問ではありません。
担当者の負担を理解し、業務の真の課題を発見する場 です。
ここでしっかり情報を引き出せれば、
業務改善の精度は一気に高まり、
システム導入・DX化の成果も最大化できます。
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本日は「会計業務改善コンサルティング第2回:現場ヒアリングと業務フロー整理の進め方― 属人化ポイント・非効率プロセスを浮き彫りにする方法―」というテーマのブログを書かせていただきました。
中小企業様の会計業務の改善に少しでもお役に立てればと考えています。
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